こんにちは!
管理人のhorishinです。
これから税金の節税対策としてアパート経営を始めるにしても、一体どれだけ節税効果があるかだとか、具体的にイメージがつかないものですよね?
また節税だけではなく、どれだけ手元にお金が残っているのかも知りたいところだと思います。
そこで今回は、サラリーマンが不動産を持つか持たないかで、手元に一体どれだけお金が残るのか、具体的なシミュレーションを交えてお話していきます。
アパート経営で実際に節税できる税金の種類とは?
国税 | 地方税 | 国税 | 地方税 | ||
---|---|---|---|---|---|
所得課税 | 所得税 法人税 地方法人特別税 復興特別所得税 地方法人税 |
住民税 事業税 |
消費課税 | 消費税 酒税 たばこ税 たばこ特別税 揮発油税 地方揮発油税 石油ガス税 自動車重量税 航空機燃料税 石油石炭税 電源開発促進税 国際観光旅客税 関税 とん税 特別とん税 |
地方消費税 地方たばこ税 ゴルフ場利用税 自動車取得税 軽油引取税 自動車税 軽自動車税 鉱区税 狩猟税 鉱産税 入湯税 |
資産課税等 | 相続税 贈与税 登録免許税 印紙税 |
不動産取得税 固定資産税 事業所税 都市計画税 水利地益税 共同施設税 宅地開発税 特別土地保有税 法定外普通税 法定外目的税 国民健康保険税 |
まずはアパート経営で実際に節税できる税金の種類を確認しましょう。税金の種類が多くて嫌になってしまうかもしれませんが、安心してください。
節税できる項目は、上の表でも色付けしている「所得税・住民税・相続税」の3つだけです!
ちなみに所得税・住民税・相続税は、以下のような場合にかかってきます。
- 所得税:給与や事業、投資などで、何らかの「利益」が出たときにかかる税金
- 住民税:所得に応じて都道府県や市町村に支払う地方税
- 相続税:一定以上の財産を相続した場合にかかる税金
具体的にどのように節税ができるのか順を追ってみていきましょう。
【①所得税】アパート経営でできる所得税の節税対策をお伝えします!
それでは、ここから不動産を持つことによって、所得税がどれぐらい節税できるのか具体的に見ていこうと思います。
まずはじめに、税金がかかる所得税について整理した後で、一体どのようにして税金を減らしていくのかという流れでお伝えしていきますね。
まずは税金がかかる所得税について整理しておこう!
もうすでにご存じのことかと思いますが、所得税というのは以下のような計算で求められます。
総所得額によって税率が決定されるため、総所得額が低いほど税率も下がります。具体的には以下の表でまとめていますので、こちらをご覧ください。
課税される所得金額 | 税率 | 税額控除額 |
195万円以下 | 5% | 0円 |
195万円以上~330万円以下 | 10% | 9.75万円 |
330万円以上~695万円以下 | 20% | 42.75万円 |
695万円以上~900万円以下 | 23% | 63.6万円 |
900万円以上~1800万円以下 | 33% | 153.6万円 |
1800万円以上~4000万円以下 | 40% | 279.6万円 |
4000万円超 | 45% | 479.6万円 |
イメージを持ってもらうために、年収700万円のサラリーマンの所得税を計算してみます。
377.46万円 × 20%[税率] – 42.7万円[控除額] = ¥327,920
働かなければ総所得額は低くなりますが、それは本末転倒。所得税の節税のポイントは所得はあるけど、総所得額が低いという状態を作り出すことです。
同じく年収700万円のサラリーマンで不動産投資をしている方の所得税を計算してみます。
=630万円[給与所得] – (190万円[給与所得控除] + 99.54万円[社会保険控除] + 38万円[所得基礎控])}= 302.46万円[課税される所得金額]
302.46万円 × 10%[税率] – 9.75万円[控除額] = ¥204,960
同じ年収700万円なのに「経費」があることにより所得額が630万円に変わり、税率、控除額が変わり11万円の差額が生まれましたね。
ここが今回の肝となる話で、アパート経営にとって重要なところなのですが、赤字と言ってもお金が出て行ってしまっているわけではありません。
むしろ節税できた分プラスになっています。
最初のうちは意味が分からないかもしれませんが、このカラクリについては後々お伝えしていきます!
それでは、どうやってその状態を作り出すのか、これより解説していきます。
ただ、この状態をつくり出すときに、経費としてどのような項目が計上できるのかを知っておかないと、結局よく分からないまま終わってしまいます。なので、まずは経費計上できる項目から見ていきましょう!
具体的に何が経費計上できるのか?
それでは経費計上できる項目をみていきたいと思います。
経費計上できる項目
- ①雑費(交通費、ガソリン費用、交際費など)
- ②建物の減価償却費
- 修繕費
- 税金
- 損害保険料
- マンション管理会社管理費
- 税理士・弁護士などへの報酬
- 借入金の利息
ここで注目していただきたいのが太字になっている項目です。
この太字の項目というのは、アパート経営をするときにあなた自身の裁量で変わってくる経費のことです。つまり、この項目を意識することで、得するか得しないかが決まるということです。
それでは、まずはじめに①の雑費について確認していきましょう!
経費として計上できるもの①:雑費
- 不動産投資会社が主催したセミナーに参加するための交通費
- 管理会社などと打合せするための交通費
- 物件を見に行くための交通費
- 車のガソリン代、駐車場代、高速道路料金等
通信費
- インターネットで物件探しをした
- 不動産会社と電話をした
新聞図書費
- 不動産経営にまつわる書籍
- 情報を得るための新聞
会議費、接待交際費
- 管理会社、税理士との打ち合わせのための飲食代
- 不動産投資仲間と情報交換するための飲食代
消耗品費
- 確定申告をするために使ったパソコン、プリンター
- 物件を撮影するために使ったデジカメ等
アパート経営の経費としては、主にこのようなものが経費として計上できます。
これは会社の経費と同じ考え方です。お客様のところへ移動した交通費、喫茶店でミーティングした会議費、携帯電話代やブログを書いてる方は通信費なども計上できます。
これはサラリーマンであれば、普段自分の経費として計上できないものですよね?サラリーマンがアパート経営することの醍醐味でもありますが、これが自分の経費として計上できるというのは非常に大きなことです!
領収書は絶対忘れないようにもらいましょう。
ただ、あくまでも不動産投資業で使っていることが前提ですので注意が必要です。「これは経費計上できるのかな?」と悩むものがあれば税理士の先生にご相談することをおすすめします。
と言っても、一般的に経費として認められるのは年間家賃収入の10%~15%だと言われています。ここは具体的にお話できませんが、上手くやるようにしましょうね。
経費として計上できるもの②:減価償却費
経費として計上できる項目の中でこれを知らないと大きな損をしてしまうのが「減価償却費」です。大きな額を経費計上できるだけに注意が必要な項目です。
今回なぜ経費計上の中で減価償却費を大きく取り上げたのかと言いますと、注意をしないとしっぺ返しが来る項目だからです…。その理由は後程説明します!
まずは減価償却費について簡単に説明いたします。
減価償却とは、「購入した年に一度に経費にせず、毎年少しずつ経費計上していく」ことです。経費計上した分、その商品の価値(値段)は下がります。
商品によって経費計上できる期間が変わってきます。これを「耐用年数」と言います。(今回耐用年数の詳しい説明は割愛します)
不動産の場合気を付けなければならないことがあります。「土地」は減価償却の対象になりません。なぜならば、建物は経年劣化していきますが、土地は「古くなる」という考え方をしないからです。
そのため不動産において減価償却の対象となるのは「建物」のみとなります。
減価償却の意味とどのような働きをするのか、少しご理解いただけたでしょうか?減価償却の特性を分かりやすく説明するために、後程シミュレーションをお見せします!
まずは建物がどのように減価償却をしていくのか事例を見てみましょう。
3,000万円で購入した物件の減価償却表です。この物件の内訳は「建物:1,875万円」「土地:975万円」「消費税:150万円」です。減価償却の対象となるのは建物のみですので、1,875万円を47年の耐用年数で減価償却をしていきます。
上記をご覧いただき分かるように、1年目に経費計上できるのは¥806,250ですが、10年目には¥542,846となります。経費計上できる金額が年々減る=赤字が作り出せなくなっていくことにつながり、所得額が上回ってくることもあります。
つまり、節税効果が大きいのは買った直後で、そこから徐々に節税効果が落ちていくことを覚えておきましょう。
続いて減価償却によってもうひとつ気を付けなければならないのが「売却時」です。この売却を失敗してしまうと、いままで節税してきた分が無駄になってしまい寧ろトータルでマイナスになってしまう可能性すらあります。
なので、ここの部分をよくよく理解しておくようにしてくださいね!それでは具体例に入っていきます。
例えば、10年後に保有していた区分マンションを売却しようとします。3,000万円で購入したマンションは10年後には先程の減価償却の考え方から、不動産価値が¥23,831,498になっています。この価格を「取得費」と言います。
この取得費(不動産価値)を分かりやすく説明したのが、以下の図と解説です。
③にもある10年後の建物価格が¥12,081,498と分かりました。これを元に、取得費(不動産価値)の計算をしていきます。
取得費というのは建物価格に土地と譲渡費用を足し合わせたものになるので、計算は以下の通りです。
これで10年後の取得費(不動産価値)が分かりました。
では、続いてこの物件を実際に売却するときのことを考えていきます!
例えば、この物件を2,400万円~3,500万円で売却すると想定したシミュレーションをご覧ください。これを見ると最終的に不動産投資をして、トータルプラスなのか、マイナスなのかということが分かってきます。
売価 | ①譲渡所得税対象額 | ②譲渡所得税額 | ③今までの節税額 | 利益(①−②−③) |
¥24,000,000 | ¥168,502 | ¥37,239 | ¥1,135,466 | -¥1,004,203 |
¥25,000,000 | ¥1,168,502 | ¥258,239 | ¥1,135,466 | -¥225,203 |
¥26,000,000 | ¥2,168,502 | ¥479,239 | ¥1,135,466 | ¥553,797 |
¥27,000,000 | ¥3,168,502 | ¥700,239 | ¥1,135,466 | ¥1,332,797 |
¥28,000,000 | ¥4,168,502 | ¥921,239 | ¥1,135,466 | ¥2,111,797 |
¥29,000,000 | ¥5,168,502 | ¥1,142,239 | ¥1,135,466 | ¥2,890,797 |
¥30,000,000 | ¥6,168,502 | ¥1,363,239 | ¥1,135,466 | ¥3,669,797 |
¥31,000,000 | ¥7,168,502 | ¥1,584,239 | ¥1,135,466 | ¥4,448,797 |
¥32,000,000 | ¥8,168,502 | ¥1,805,239 | ¥1,135,466 | ¥5,227,797 |
¥33,000,000 | ¥9,168,502 | ¥2,026,239 | ¥1,135,466 | ¥6,006,797 |
¥34,000,000 | ¥10,168,502 | ¥2,247,239 | ¥1,135,466 | ¥6,785,797 |
¥35,000,000 | ¥11,168,502 | ¥2,468,239 | ¥1,135,466 | ¥7,564,797 |
上記表の詳しい計算式です。
②譲渡所得税額 = ①譲渡所得税対象額 × 22.1%(譲渡所得税15% + 住民税5% + 復興特別所得税2.1%)
③今までの節税額 = 年収700万円のサラリーマンが10年間不動産投資をした場合としなかった場合の差額約113万円
2,400万円~2,500万円で売却をしてしまうと、今までコツコツと節税してきた113万円がパーになってしまうどころか、マイナスになってしまいますね。これが冒頭で「しっぺ返しが来る」と言っていた根拠です。
売却時に赤字が出てしまったら本末転倒です。せっかくコツコツと節税しているのに最終的な手残りがマイナスだったら意味がありませんからね!
もし売却を検討される際は自分が節税した金額を上記のようにまとめたシミュレーションをしてみることをお勧めします。
また、売却額を2,400万円~3,500万円までふり幅を持たせたのには理由があります。中古車などと異なり、不動産は年数が経っても価格が変わらない、うまくいけば上がる可能性を持っています。
そういった価格が変わらなかったり値段が上がる「良い物件」には立地や設備、どこから買うかなど様々なことが関わってきます。つまりは、良い不動産会社から購入することが重要になってきます。
経費として計上できるもの:その他
雑費と減価償却について詳しくお伝えしましたが、他の項目についても簡単に確認していきます。
- 修繕費…入居者退去時のクリーニング費用等です。お金をたくさん掛けることもできますし、かけないこともできます。こちらはオーナー様の裁量で変わってきます
- 税金…固定資産税、都市計画税等、国で決まっているものです
- 損害保険料…火災保険、地震保険など、プランが色々あります。こちらは10年更新のものが多いです。
- マンション管理会社管理費…管理費、修繕積立金など)
- 税理士・弁護士などへの報酬…固定のものが多いです
- 利子…銀行から返済予定表を渡されますのでそちらで確認できます
修繕費、損害保険料以外は毎年毎月固定経費となってきます。計上を忘れないようにしましょう。
経費計上できるもの:まとめ
ここまで読んでいただき、給与所得は減らさず、総所得額を減らすことができる仕組みをご理解いただけましたでしょうか?
普通のサラリーマンは経費計上できるものがありません。それに対し不動産投資をしていれば経費計上できる項目があり、結果節税につなげられるのです。
何も行動を起こさなければ、10年間で約113万円も節税することなんて容易いことではありませんよね。
次は住民税についてお話し、シミュレーションに移っていこうと思います。
【②住民税】住民税は所得税が抑えられれば必然的に節税に
住民税は総所得金額が抑えられることで節税が可能です。つまり所得税が減れば必然的に住民税も納める額が少なくなります。
住民税は所得を低くすることによって節税できる理由はお分かりいただけましたでしょうか。
次の章では実際どれくらいの節税ができるのか、不動産投資をしているサラリーマンとそうでないサラリーマンを比較し、具体例を交えて紹介していきます。
【所得税編】アパート経営サラリーマンVS普通のサラリーマン税金比較
所得税の節税のポイントである所得はあるけど、総所得を低くする仕組みはご理解いただけたかと思います。では、具体的に不動産を持っているサラリーマンと、普通のサラリーマンでは手取りにどのような差が生まれているのかをシミュレーションで見ていきましょう。
Aさん35歳:年収700万円+不動産投資(都内新築3,000万円の区分マンションを保有)している場合
Bさん35歳(年収700万円のみ)
700万円[給与所得] – 330万円[給与所得控除額] × 20%[所得税率] – 42.75万円[課税控除額] = 約31.25万円の所得税
違いはどれぐらいか?
マンション1戸持っていただけで約11万円の所得税の節税ができました!
給与所得は変わらないのに、総所得が減っていることによりこのような節税が可能になっています。
【住民税編】アパート経営サラリーマンVS普通のサラリーマン税金比較
住民税は総所得金額が抑えられることで節税が可能です。そのため、所得税が減れば必然的に住民税も納める額が少なくなります。
住民税は給与から天引きされています。つまり、手取りに直接かかわってきます。
※給与年収700万円=控除額323万円
それではAさんBさんを比較してみましょう。
Aさんの住民税
Bさんの住民税
違いはどれぐらいか?
Aさん30.7万円 ― Bさん37.7万円 = -7万円
同じ給与年収なのに7万円の節税!
所得税・住民税はお給料から天引きされますので、それぞれの所得税住民税 ÷ 12か月をすると…
Bさんは毎月約57,500円の天引き